福岡県春日市のカク企画1級建築士事務所
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ローコストで24時間換気設備をやってみて

 「シックハウス対策のための建築基準法」が平成15年7月1日に施行されて「換気設備設置の義務化」が導入されました。まもなく1年近くが経とうとしていますが、こないだも(平成12年6月1日)に採光やら品確法等、大幅改正があったばかりなのに、正直、「またかよ〜!」と「こりゃ大変だ〜!」と頭の中を駆けめぐったしだいです。
 しかし、シックハウス対策の新たな建築基準法を、実際にやってみると、これが意外にもあっけない。イヤ、実に簡単!本当にこんなんでいいんだろうか?と不安にもなり、疑問に思うことも・・・・・

 というわけで、ローコストで24時間換気設備をやってみたレポートです。

本当の意味での計画的な換気!お金がかかる換気設備なんて嫌なのさ〜

 24時間換気設備の目的は、シックハウスの原因となる化学物質等汚染空気を排出するのが目的です。
では、「本当の意味での計画的な換気」(以下「本当の換気」と略す)を簡単に言えば、

  • 必要な新鮮空気を必要な分だけとる。
  • 空気の入口と出口(空気の流れ経路)を明確に固定する。

・・・・・です。
 ここで大切なことがあります。
「本当の換気」を実現するためには、高断熱高気密住宅がいるのです。理由は、

  • 気密性は熱損失ばかりに目がいきがちだが、外部のすきま風の影響を受ける低い気密性能であれば、室内の空気の流れ経路も隙間風の方向任せに乱され、効率よく空気が入れ替わらない。
  • そのような外部の影響で換気量が増大したりするのであれば、安定した換気量は供給できない。

・・・・・です。
 以上の理由から(他にもまだたくさんあるけど)、「本当の換気」をおこなうには、高断熱高気密住宅ではないと計画的な新鮮空気を供給できないのです。
 ・・・で、実際「本当の換気」をやればいくらぐらいかかるのでしょう?

 高断熱高気密住宅と計画換気がセットですから、ある意味、理想の住宅に近づくのですが、どのくらいのコストアップがあるかというと、某工務店は高断熱高気密住宅と計画換気の追加見積は3万円/坪程度(割合的には高断熱高気密住宅分が大半を占める)でした。

 ・・・・う〜ん、より快適な住空間になると思うのですが、すべてのお建築主さまが必要としているものでもありませんし(なかには、人工呼吸住宅だ〜!といって精神的に嫌っている方もいる)し、「本当の換気」を実現するために3万円/坪程度のコストアップは非常にきついと考えるお建築主もたくさんいらっしゃいます。

 よく分かります。だから、建築基準法上、最低基準の換気設備で24時間換気設備を取付てみました。

洗面所の換気扇で24時間換気!全然コストアップしないのさ〜

 目的は「最低の基準と最低のコストで24時間換気をやる」です。
なんだか、いけないことをやってるみたいですが、そうではありません。
新たに創設された、「シックハウス対策のための建築基準法」はちゃんと守りながら、どぉ〜どぉ〜とやります。
それで、最初の住宅として、取引不動産会社の建売住宅にて下記の計画でやることにいたしました。

換気計画図

 洗面所の換気扇はどなたも取り付けられていますよね。ナニ・・・・取り付けられてない?
それはいけませんね!湿気きますよ〜 取り付けましょう。

 上の図を見て頂くと、「24時間換気:第三種 排気量102m3/h」となってます。
これってどんな換気扇なんでしょう?・・・・・・・・・・・

換気扇←コレです。(超ふつう〜)
 一般的に洗面所に使われている普通の換気扇。
価格もお求めやすく超リーズナブル!
どこかの工務店の親父が何も考えずに、「換気扇くれ〜」と建材屋にいえば、「ハイ!わかりました〜」とツーカー(古い!)で、すかさず現場にもってきてくれそうです。(それぐらい超ふつう〜)

 おどろかないで下さい。簡単言うと、今までの住宅に、ごくごく普通に洗面所に設置されていたであろう、この換気扇を24時間稼働(回しっぱなし)さえすれば、「シックハウス対策のための建築基準法改正 24時間換気」は法的にはOKなんです。(ヘェ!ヘェ!ヘェ!ヘェ!ヘェ!)

 実際問題、過去の住宅と少しも変わりません。(建具のアンダーカットなどいるけど)

給気口をつけないで確認申請を提出!御上は甘くないのさ〜

 上記の住宅の図面を見て頂くて「おや?なんか変」とお思いの方いらっしゃいませんか?
専門家の方はおわかりだと思いますが、そう、上記の住宅図面には給気孔がありません。

 上記の住宅の確認申請を提出するにあたり、給気孔の設置はしないこととして図面を提出いたしました。

 今回の住宅は「最低限の換気設備」でおこなうという目的ですから、建築基準法上クリアするなら、できるだけコストをおさえるため、給気孔は取り付けないでおこうと考えたのです。
給気孔を取り付けない理由は↓こうです。

  1. 技術的基準を定める令第20条の6によると有効換気量(m3/h)等の計算式などは定められているが、給気孔の設置義務などの、そう読み取れる項目はない。換気経路が一体となった各部屋等にはアンダーカットや通気孔など設ける項目はあるけど。
  2. 今回は、システムが単純な機械的に排気のみをする「第三種換気」を設置するのだが、そのシステムの給気は室内の圧力差により自然に給気がおこなわれる方法である。
  3. その給気量は排気量と同じ量を確保する必要がある。
  4. 計算により求められた必要排気量に対する給気量は給気孔を設置せずとも、住宅の隙間により十分確保されると考えられる。

「エ〜!何で〜住宅の隙間で十分確保できると〜?」といわれそうでですが、以下は私の勝手な判断です。

  1. 高気密住宅の定義は床面積当たりの隙間相当面積は、1u当たり5cu以下。また、次世代省エネ基準では、1u当たり2cu以下。
  2. んじゃ、逆に今回のような気密住宅でないのは、床面積当たりの隙間相当面積は、1u当たり2cu以上あるんじゃないのか?イヤ!十分そのくらいあると思う(実験データがあるわけじゃないけど)・・・・・・・。
  3. 試しに住宅の隙間を1u当たり2cuとして計算をおこなうと、必要十分、給気量は確保できる。
  4. 結論。それじゃ、給気孔なんかいらない。

 完璧な屁理屈。イヤ、完璧な理論です。
以上のを踏まえつつ、どぉ〜どぉ〜と御上に確認申請を提出したのですが・・・・・。
「そんな屁理屈通用しませんヨ〜」「ちゃんと給気孔つけて下さいネ〜」
とまるで無邪気な子供を諭すようにいわれてしまいました。

 結論:洗面所による安価な換気扇まではOKだが、給気孔はつけなければならない(・・・フッ ま、当たり前か。でもこんな屁理屈言った人、全国に30人はいたと思う)。

工事が完成してのご感想!オイ!ほんとに役たってんのかッ

 確認申請そして中間検査を経て完了検査がどぉ〜どぉ〜と完了いたしました。完成建築写真

 それで、「シックハウス対策のための建築基準」をクリアすべく最低の基準で設置した洗面所の普通の換気扇が、
←コレです。
※最初のカタログよりタイマーなどついてほんのちょっとグレードが上がったりしてる。

 洗面所に設けるこの程度の換気扇、以前からどこの工務店でも当たり前のように取り付けていたんではないでしょうか?。

 今までと何が違うのかって確認申請書に添付する「有効換気量の計算書」や「換気計画書」というめんどくさい書類が増えただけであって、工事の内容は、以前とほとんど変わってません。

 法規的にクリアしてるとはいえ、この洗面所に取り付けた、超ふつうの小さなプロペラ式換気扇。コレを24時間回しっぱなしにすれば、「これが、シックハウス対策のための24時間換気どぇ〜す」と本当に言い放っていいのか?自分で取り付けていながら、疑問です。
 しかし、紛れもなく建築基準法上のどぉ〜どぉ〜とした24時間換気です(くどいようだけど最低基準ネ)。

 哀愁漂わせながら、ハルウララよろしく、「ヒ〜ン」なんて、非力なプロペラを、ぐるぐる回し続ける換気扇を見ているとなんか、こっちゃ悲しくなってきます。
「おたく、そうやって一生ぐるぐる回ってるおつもりですか?」と、聞いてみたいもんです。
それに、蓋取ってみると音が結構うるさかったりします。プロペラを回してるシャフトが、なんか貧弱そうで・・・・オ〜イ大丈夫か〜?年中回しっぱなしだったら、シャフトがすぐ、バカにならんのか?
「バカなりました〜」って、1年程度で言われたらたまらんぞ!
まあ、近くのラーメン屋のトイレの換気扇も年中回ってなんともないし、大丈夫なんでしょうけど。

結論:「オイ!ほんとに役たってんのかッ」

洗面所の換気扇で安全!だって御上のお墨付きなのさ〜

 「最低の基準と最低のコストで24時間換気をやる」この換気システム。どぉ〜考えてもあまり役にたってるようにはみえません。しかし、ふと、まわりを見わたしてみると、たくさんの工務店で、洗面所やトイレの換気扇まわして安直に「24時間換気扇どぇ〜す」とコレやってます(私も含めてだけど・・・・)。
やはり、「本当の換気」では建築主とのコストの折り合いが付かないケースが多いのが実情だからでしょう。

 なかには、この法改正に伴い、第一種換気(給気と排気を機械でやる)で、熱交換型(熱損失が少ない)を採用してる工務店もいらっしゃいます。
 排気だけをやる第三種換気(構造は単純)と給気と排気を同時におこなう熱交換型タイプの第一種換気(構造は複雑)、どっちが偉い?って聞かれると「第一種換気の方が偉いんとちゃう?何となく」というのが一般的イメージです。つまり、そのセールストークに負けたりします。
 ここで注意したいのは、せっかくの第一種換気、気密性能や換気経路等に気を配って計画的な換気をおこなっているのかというこどです。単なるセールストークための第一種換気もなかには散見してるからです。(しかも構造的に複雑な第一種換気熱交換型がすべてにおいて勝ってるわけじゃない)。

 健康住宅の意識は7,8年前(もっと前からかもしれない)から先駆的な設計事務所や工務店などがその意識を世間に知らしめるようになり、それに追随するように、建材メーカーなども少しずつではありますが健康に配慮した材料を提供するようになりました。現在では室内に使用する建材や住宅設備機器等、ほとんどがF☆☆☆☆となり、また、外部に使用するコンパネやベニヤなどもF☆☆☆となっています。昔で言う、JISやJASのE0やFc0相当なのです。
そう、現在は健康住宅など意識に関係なく、どこの工務店が住宅に使用する建材を発注しても安全基準値を満たすようになってきています。建築基準法の改正より先を進んでるのが現状です。

機械換気設備について、第一種換気設備とは、給気・排気をともに送風機でおこなうもので、第二種換気設備は給気のみを送風機でおこない、第三種換気設備は排気のみを送風機でおこないます。
安定した換気量を確保するには給気と排気を機械でおこなう第一種換気が良いとされてますが、
反面、コストが割高になるのと、給気量と排気量が同量にならなくてはいけないので、メンテナンスにも気を配らなければなりません。

現在室内で使用されている建材はF☆☆☆☆(旧基準0.05ppm以下)がその大半を占める
建材の旧基準値 ppm 症状
  50.00 肺炎を起こして死亡することもある。5〜10分で急性中毒を起こす
  10.00 正常な呼吸が困難になる
F3合板:一般的に使用されている 4.00 催涙が起こる
  3.00 鼻や喉に刺激が加わる
F2合板:最近多く使用されている 2.00  
  1.00 5年間生活すると1万人中14人が癌になる
  0.50 臭気のために不快感が起こる(工場などの最高値)
F1合板:食器棚、ベビータンス等に使用 0.20 目への刺激が加わる(ドイツではこれ以上の製品は取引禁止)
  0.10 多くの国が勧告値及び天井値としている
  0.08 WH0基準
  0.05 臭いを感じる(カナダ・カリフォルニア室内基準)
COF1合板:特別な所にしか殆ど使用されていない 0.04 敏感な子供はアトピーになる
  0.01 測定不能レベル
シックハウス症候群の主な症状
頭痛、めまい、ふらつき、不眠、鬱状態、循環障害、タンソク、耳鳴り、目の痛み、動悸、嘔吐感、視力障害、皮膚炎、アトピーなど
※基準値よりさらに上回るためには天然系を採用など必要だが天然系の種類によっては反応する人もいる。

 もちろん、完成後に家具など搬入すれば、ホルム等が発生するおそれがあります。(知人の工務店がインドネシア家具を輸入したが、それが凄まじいホルムの臭気だった)それに対しての24時間換気を指導するのが目的なんでしょうが。でも、でも、何かひっかかる。何かおかしい。そう、洗面所の換気扇をぐるぐる回せば「これが!シックハウス対策の24時間換気扇どぇ〜す」といえちゃうところが。しかも、御上(国土交通省)のお墨付きなのが。

将来またまた大幅改正!住宅性能表示制度の義務化?

 あまり役にたちそうにない24時間換気は逆に建築主に「こりゃあ健康だ〜」とみょ〜な勘違いをされそうですから「あの〜洗面所の換気扇24時間ぐるぐる回ってますけど気にしないで下さいネ〜、それより、日頃から窓全開にして通風換気をおこなって下さいネ」と私は建築主にそう伝えたいです。
それにしても、建築主の立場を考えると、24時間回しっぱなしにするか〜?それも怪しい。

 この建築基準法、何年後かに、問題になりそうな気がするのは私だけでしょうか?まぁ、私はつくらないから気軽にいえるんですけど、あんまりきびしいすると、そりゃ全国の建築主や、建築関係者から「突然そんなきびしくすんな!バカヤロ〜」的発言の嵐が巻き起こるでしょうし、そのおとしどころ(悪い意味ではなく、建築基準法はどこまで法で規制するかの妥協でできている)は現実問題としては大変むずかしいでしょう。

 建築基準法っていろんな方面に多大な影響を及ぼす問題ですし、建築基準法の条文を一行追加変更するだけで住宅の着工件数は減るかもしれない。公共事業のコストが上がっちゃうかもしれない。イヤ、それどころか国内総生産(GNP)に影響が!イヤ、イラク問題にも影響があるかもしれない!など、いっぱい考えすぎて頭がプァになったんじゃ?・・・それとも換気扇組合(そんなんあるのか)の陰謀か?こっちはいろいろ勘ぐったり、ツッコミいれたくなります。

 建築基準法をつくる御上の考えは、

 「おたくに言われなくても、この建築基準法による24時間換気がパーフェクトでないことは十分承知しておりますです。ハイ
しかし、建築基準法にいきなり、パーフェクトな換気設備の設置義務をあたえたらどうなります?住宅の多大なコストアップにより住宅建設市場は大混乱するんじゃないんですか?
そうならないために、これから住宅を建てられる方、工務店への配慮でほんの少しのコストアップで済む方法も採用できるように建築基準法を緩くしてるんです。ただし、将来的には、任意で活用できる「住宅性能表示制度」の義務化を考えておりますので、それを導入する間の言うなれば勉強期間と申しましょうか、下地つくりと申しましょうか・・・・まぁ、そゆことです。ハイ」
 ↑コレあくまで推論です。あたってるかどうかは知りませんが、将来の大幅改正に備えての段階を踏まえての変更。何段階あるか知りませんが、その布石じゃないでしょうか?。

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